第三章 本当の夜というもの

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「口の中?」  やはり、幻影ではなかった。 闇の中にいたのは、五羅であった。  口の中には、指輪があった。 これは、五羅が、左手の小指にしていたものだ。 元は、五羅の母親がしていた指輪だと聞いた事がある。 指輪に刻まれた文字を見ると、三紗羅と刻まれていた。 確か、五羅の母も、母から受け継いだ品と言っていなかったか。  どうして俺に、指輪を渡すのだ。 これは、形見ということなのか。
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