第1章

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免許証の他には、会社の保険証も出てきた○×商事。大手の会社じゃないか、そういえばこの部屋も殺風景だが間取りも広い。暮らし向きは裕福なようだ。 机の引き出しもみてみた。アルバムがでてきた。みると、結婚後の写真集らしい、結婚式、旅行、どこかの温泉か妻と私がふたりで微笑んでいる。自宅前での記念写真妻も私も楽しそうだ。 しかし、不思議なことに気が付いた。娘の写真が一つもないのだ。あんな可愛らしい娘ならたくさん撮ってあってもおかしくないが一枚もない。 思案していると引き出しのさらに奥に写真が一枚あった。アルバムからはがしたのか、それとも別の内緒の一枚なのか。 どきどきしてみたが何のことはない、ただの会社の社員旅行らしき一枚だった。宴会場で男女十数人が浴衣姿で笑って写っている。 なんでこれだけ別にしたのだろう?と、思った瞬間あることに気が付いた。 私の娘が写っている。浴衣を着て私の同僚と思われる女性と仲良さそうにピースをして。だとすればおかしい、この娘は私の子ではないのではないか、会社の同僚という方が自然な考え方だ。妻はうそをついたのか? なんとなくあごに手をやり、思案のポーズをとりながら部屋を歩き回っていると、ベットの下に目がいった。何かあるぞ。 おそるおそるベッドのすそをめくると妻のいう娘がいた。ただし、顔は血だらけで目を見開き絶命していた。最初に私を見た妻の表情とどちらがすごいかという風であった。 思い出した。彼女は会社の後輩で私と不倫関係にあったのだ。昨晩は妻が学生時代の友人と泊りで遊びに行くというので思い切って私の家へ招待したのだ。部屋に入りワインで乾杯しようと私だけキッチンへ行き戻ってきたらいなかったのでどこへ行ったのだろうと思ったらここにいたのか。 私の思考は背後の気配で中断された。 妻が後ろに立っていた。先に血のついたゴルフクラブを手にもって。彼女はクラブを上に振りかぶった。 「やっと思い出したのね。何も知らないうちにお仕置きしても面白くないから。」 そう言うと妻はクラブを振り下ろした。何回か振っているうちに上手くなったようだ。妻の一振りは私の頭の急所を的確にとらえ私の意識と命を断ち切ることに成功した。
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