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【プロローグ】
時は、1998年９月４日の夜７時50分頃のことでありました。
場所は、東京品川の京急の高速バスターミナルにて…
私・イワマツヨシタカは、今治行きの夜行高速バスパイレーツ号に乗りまして、あてのない旅に出たのでありました。
バスのチケットは、三島川之江インターまでと記載されていました。
私は、リクライニングシートにのんびりと腰かけまして夜の都会の風景をながめていたのでありました。
バスの中にありますモニターの画面には、アメリカのハイスクールが舞台でありますラブストーリーの映画が映っていました。
私は、映画を見ずにひとりぼっちで夜の都会の風景をながめながらMDウォークマンを聞いていたのでありました。
バスは、途中の浜松町バスターミナルに止まりまして、お客さまを乗せた後に夜８時15分頃に出発をしたのでありました。
バスは、夜８時40分頃に首都高速道路から東名高速道路に入りました。
富士川サービスエリアでのトイレ休憩を終えてバスが出発をした後は、みんなが眠りについていましたが、私は眠ることができませんでしたので、MDウォークマンで歌を聞いていました。
MDに焼き付けている歌は、私が小さいときに波止浜の母子保護施設にいたときに、毎日正午に南海放送ラジオで放送されていました『想い出のリズム』でありました。
正午の時報の後、15秒間のCMのあと蓄音機の音源とともに、戒田節子さん(南海放送のアナウンサー・みかん一座の座長)のアナウンスで『想い出のリズム』が始まるときに、施設のテラスにいた私に同じ施設で暮らしているちえこちゃん(イワマツと同い年)が呼んでいたのでありました。
「よーくん…想い出のリズムが始まったよ…一緒にお歌を聴こうね…」
『想い出のリズム』が終わった後は、ちえこちゃんと一緒にテラスに出まして、遠くに見える大崎群島や関前諸島や来島海峡の風景をながめながら、ラジオで聴いたリクエスト曲を一緒に歌っていたのでありました。
ちえこ…
ちえこは今ごろどこにいるのだろうか…
私は、今も…
路頭に迷っています…
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