乳房星(たらちねぼし)2017

4/103
前へ
/600ページ
次へ
それから私は、実母とふたりで施設の小さな部屋で暮らしていたのでありました。 産まれてから4歳の誕生日の前日までは、実母の300のMカップのふくよかな乳房をひとりじめにしていまして、3歳までおちちをのんでいたのでとても幸せでありました。 しかし、4歳の誕生日の前日に実母と一緒に今治大丸(デパート)へ行っていた時に迷子になってしまったことが原因で私は実母と別れてしまったのでありました。 迷子になってしまった原因は、実母がデパートのバーゲンセールの前を通りかかった上に、どうしてもほしいものがありまして、目がくらんでしまったので私の手を離してバーゲンセールへ行ってしまったのでありました。 私が迷子になってから6時間後に、大丸から施設に電話がありまして『(私)が迷子になっている上に実母がデパートのどこを探してもいないので急きょ迎えに来て下さい。』と言いましたので、施設の先生が私を迎えに来まして施設へ連れて帰ったのでありました。 実母は、深夜11時半過ぎに施設へ帰って来ましたが、この時にバーゲンセールで買いました衣服を着ていてホストクラブのイケメンホストと一緒に帰って来ましたので、施設の先生が怒り心頭になりまして『よーくんを置き去りにするのであれば出て行きなさい!!』と怒鳴りまして、実母を施設から追い出したのでありました。 私は、あの日を境にしまして人生が大きく狂ってしまったのでありました。 実母がいなくなってしまった後の暮らしは、朝ごはんを食べ終えた後は施設のテラスに出まして一日中海をながめて過ごしていたのでありました。 遠くに見える大崎群島や関前諸島や来島海峡の風景といまぞう(今治造船)と(くるしま)ドックに入っている大型タンカーや南側に見える四国山地のやまなみを見つめながら、帰らぬ実母のことを思っていたのでありました。 そんな私の楽しみは、毎日正午に南海放送ラジオで放送されていました『想い出のリズム』を聴く時間でありました。 正午の時報のあと、15秒間のCMを挟んで蓄音機のメロディとともに戒田節子アナウンサーのアナウンスで番組が始まった時に、ちえこがテラスにいる私を呼んでいたのでありました。
/600ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加