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珍しげに肉だんごを食べてみると、甘酸っぱい味がしていた。野菜は、生に近いので食べやすい。俺は、煮込んだ物をあまり食べない。
「理科の実験のように食べないの。食べ物は心で食べるのよ」
七五三野は、何でもおいしそうに食べていた。
「七五三野さん、格闘技仲間だと塩冶さんに聞いたのですが、俺にも教えてくださりませんか?」
琥王が七五三野に頼んでいた。
「いいよ!そうか、守りたいのか。男だねえ」
七五三野はご飯をおかわりしていた。豪快に食べるので、気持ちがいい。
「でもな、格闘技は決して遊びではないよ。後悔することもあるから」
「そうですね、後悔は分かります」
琥王にも、今リハビリ中の親友がいる。
「よし。薬師神も格闘技をするか?」
俺?もしかしたら、格闘技は向いているのかもしれない。逃げる方は得意であった。
「そうですね。格闘技の受け身の基礎はやっておきたいです」
同じ殴られるにしても、受け身が取れるかでは大きく違うだろう。
「そうねえ、分かった」
七五三野はごきげんになっていた。塩冶は、七五三野が精神を病んだと言っていたが、元気そのものであるように見えた。
でも、七五三野には、気になる点が一つ存在していた。
「薬師神……先に言っておくけど。格闘技では身長は伸びないよ」
俺は、琥王や七五三野と比べると小さいが、身長が低いわけではない。しかも、伸び盛りであった。
「俺は、今も身長が伸びています!」
中華はおいしく、全部食べる事ができた。改めて店内を見ると、かなり広く、個室も幾つか用意されていた。他に半個室のような部屋も多く存在していた。赤を基調にした店内は、提灯もかけられ、中華のイメージで統一されている。
窓から森を見ると、森の手前にプールがあって、やはりライトアップされていた。
白い花は、どこに見えたのだろうか。森を見つめていると、その一点が白く見えた気がした。
森の奥に、白く見える場所がある。遠視してみると、花が咲いていた。その花は、森の中にあって異質で、一本だけの満開であった。
「……見つけた」
これは、本当に存在する木であるのか。携帯電話で写真を撮ってみると、琥王に見せてみた。
「俺には見えない?」
携帯電話の画像と、実際の景色を琥王が見比べていた。
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