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しかし、学校の付近で姿を見たという生徒の証言もあった。天満が、おはようと言いながら、追い越しして行ったという。挨拶を交わしたのが、同じ陸上部であったので、間違いではなかったであろう。しかも、追い越した天満が練習に来ていなかったので、変だと顧問に言っていた。それは、学校から五百メートルといった距離であった。
学校付近、もしくは学校内で行方不明になってという証言があるので、学校も警戒を強めているのだろう。
「ジョギングコース」
地図を赤線で辿ってゆく。天満のコースは、道路が主で、公園の中などは走っていなかった。
ジョギングコースで何か見たとすると、沢山の目撃者が出たであろう。通学となると、見てから時間の経過が少なく、拉致の準備ができない。衝動的に連れて行ったのだろうか。
「時間というものがあるよね、その時間、天満しか居なかった……」
それは、どこであったのだろうか。
「天満と、和海?もしくは、過激派しか居なかった」
和海がいたのならば、天満は気付くのではないか。そして、誰かに言うだろう。和海は、最近、俺の学校にも来ていたので、もしかしたら天満は声を掛けたのかもしれない。
でも、狙われたのは天満だけだった。
この付近で、何か事件は起こっていないのか。何となく、住所で検索していると、迷子犬の情報があった。犬を探しているという。
「犬……」
同日に、三匹が消えていた。
迷子犬のサイトを確認していると、同じ日に消えるという現象が、度々起こっていた。犬の窃盗グループがあるのではという、噂も出回っていたが、迷子犬には雑種も多く存在していた。飼い主は、飼い主にとってはかけがいのない犬であるが、売るとなると買い手はありませんから返してと、コメントしている。
「犬を盗んでいるのか」
何故、犬なのか。
「呪いでもかけるのかな」
和海ならば、呪いの可能性もある。犬を殺してかける呪いは、非常に強いのだ。犬のまっすぐな意志と、その忠臣性が呪いに向いてしまうと非常に強固にもなる。
「俺には呪いをかけられないよ」
これでも、神憑きであったので、人の呪いはかからない。これは、俺の中の六人の神が、全員一致で言っている。
「千々石にか?」
千々石にも呪いは効かないであろう。千々石には、闇に強い体性と、呪いをスルーさせるスキルがあった。でなければ、とっくに和海に殺されている。
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