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「違う部屋ではないのかな……」
いや、部屋で見ていたのではなかったのか。夕食は、どこで取ったのか。眼下に森を見ているので、地下のレストランではない。最上階に、レストランが二つあるようであった。一軒は高級中華なので、もうひとつの、フレンチの店であったのだろうか。
でも、位置を見てみると、森に面しているのは中華の方であった。
そもそも、一人での出張先で、ホテルのレストランで食べていたのか。
周辺の案内図を見てから、パソコンを出し、周辺の航空写真を居た。
「そうか、外に食べに行ったのか。森を上から見る店。いや違う。料理のうまいホテルと言っている」
考えても仕方がないので、最上階のレストランに行ってみることにした。
「ビジネスプランの宿泊で、食事付があるよ。それを利用したのではないの?」
琥王は、エレベータに貼られていたチラシを見つめていた。平日限定で、朝夕の食事が付いたセットプランがあった。ビジネスなので、セットの宿泊料金で領収書になれば、ありがたいのかもしれない。
セットのチケットで、中華も食べる事ができる。
「俺達のも、そのプランみたいよ。食事券が入っていた」
琥王は、チケットまでしっかり手に持っていた。こういう所は、琥王はしっかりしていた。でも、金曜日でも、平日になったのだろうか。塩冶が計算していたのではないのか。
「では、中華、食べてみようかな」
最上階に行くと、高校生二人では目立っていた。すると、七五三野がそっと後ろに立った。
「やっぱり、ここで夕食か。俺も入るところであったのよ」
保護者?が現れたところで、やや人目を避けることができた。しかし、七五三野、どこで待っていたのだろうか。せまいエレベータホールであったのに、気配を全く感じなかった。
チケットを出すと、メニューは決まっていた。席に案内されると、窓際の端で、森がよく見えていた。
「森をライトアップして見せているのか」
木の生育には悪いが、綺麗ではあった。
第二章 白蓮の森2
森の中は暗く、白い花など見えない。俺が森を凝視していると、七五三野に肩を叩かれた。
「食事はおいしく食べようね」
その通りだと、運ばれてきたセットメニューをじっと見つめた。そう言えば、芽実と食事に行く事もあったが、パンの有名な店が多く、中華はあまり食べたことがない。
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