あれからのわたし達

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◇◇◇◇◇◇ とうとう北海道での勤務を終えて 今日は東京への出発の日。 こんな日は、非情だと思っている うちの両親もお見送りに来てくれた。 「晶、向こうではちゃんとした生活を送りなさいよ」 我が家に来ては 何度もあちこち汚れた家を掃除してくれた母親。 「わかってるけど、掃除したそのすぐ後に こいつらが汚してくれるから・・・・・」 皇との結婚の時は放棄していた家事も 悠斗との暮らしでは、やろうと言う気持ちだけは持っていた。 ただ、それが形にならないだけで・・・・・ 「悠斗君にまで捨てられたら 本当にあんたには何もなくなるんだからね!」 東京に行く娘にかける言葉とは思えない・・・・・ 「悠斗君、結婚式の時に言った俺の言葉覚えているかい?」 「はい、返品は聞かないんですよね?」 「そうとも!ぜひ、そちらで最後まで処理してくれ」 父親も、これから東京勤務になる 娘婿にかける言葉ではないな・・・・・ 「取り敢えず、あたし達の事は心配いらないから! 父さんも母さんも、もういい歳なんだから 牛の事も大事だけど、自分の身体も大事にね!」 「あんたこそ!もう捨てられるんじゃないよ!」 最後の最後まで、そんな言葉を投げられてのお見送りだった。 これからあたしたち家族8人は 東京での新しい暮らしが始まる。 あたしと悠斗が出会った東京。 苦しい事ばかりだった東京だけど これからは、家族で愉しい暮らしで 新しい想い出を上塗りして行きたい。 穂波家総勢8人。 これから、東京で皆様にお世話になりますので どうか、温かくお迎えくださりますように お願いいたします・・・・・・・・                  END
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