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連絡先も知らずで
皇と会わない日が続いて月日が流れた。
皇も遼臥君も、叶大君と同じ時期に
大学を中退して美波商事と言う会社に入社したと
花音から教えてもらった。
「っえ?晶、南條君から聞いてないの?」
わたし達が付き合っていると思っている花音は
そんな事も聞かされていないのかと驚きの顔を見せる。
「あたし達、最近すれ違いばかりでさぁ」
実際問題、すれ違うどころか会ってもいないのに・・・・・
「そっかぁ。
ミーの父親の会社が乗っ取られた話は知ってるでしょう?」
そんな事も知らなかったわたしは
驚く表情をグッと堪えて我慢して
「うん、それは聞いたよ。ひどい話だよね」
「その会社を取り戻すために
あの2人は敢えて美波に入るのよ」
「っえ?美波ってミーの父親の会社だったの?」
こればっかりはポーカーフェイスも維持できなかった。
「そうだよ。榊ホールディンクスから
美波商事に名前が変わったけど
母体はミーのパパの会社だよ」
「そうなんだ・・・・・」
何も知らないわたしに、花音は驚いていただろうけど
なにも聞かずに説明を続けてくれた。
わたしは、皇達はまだ大学を愉しんでいると思ってた。
短大を出てしまったわたしは
当時は小さな会社の営業に回されていた。
慣れない仕事で、覚える事も多くて
皇達に会いに行く事も儘ならなかったけど
いつの間にか、皇達を取り巻く環境は
わたしを取り残して変わって行ってしまったようだ。
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