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紘斗は場所をわきまえず、姫良の肩を抱いた。
「紘斗!」
肩を引き寄せながら顔を傾けると同時に、気づいた姫良が悲鳴をあげる。
再会した最初からおれには覚悟なんて必要なかったのかもしれない。
宣誓するまでもなく不動の気持ちは――
「愛してる」
その言葉でしか表せない。
姫良はびっくり眼で悲鳴を呑んだ。
その瞳が笑みに変化する瞬間、ふたりの距離はゼロになる。
ずっと。
そのあとに続く切望は数えきれない。
記憶のなかから一番という瞬間を選べないように。
満たされているようで満たされない。
そんな渇望を抱いて、さみしさから姫良を遠ざける。
おれにできることは、姫良、
いまはそれしか思いつかない。
-The conclusion.-
あとがきはエッセイにて‥Many thanks for reading.
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