プリンセスのティアラ~プリンスの渇望~

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二月最終日の日曜、ヴァレンタインデーのにぎやかさは消えたものの、休日のショッピングモールは変わらずごった返している。 そのせいか、外の寒さを忘れるくらいむっとした空気が蔓延して、のどは渇くし、数時間後には人酔いで頭痛が待っていそうな気配だ。 その不快さを除けば、ショッピング付きの紘斗とのデートは楽しい。 相変わらず忙しい紘斗だが、今年になってよけいに時間が取れなくなっているような気がする。 日曜日はなるべくスケジュールを空けてくれるようになっていたのに、またもとに戻っていた。 ひょっとして、紘斗にとって姫良の存在感は薄くなっているのかもしれない。 いいほうに解釈すれば、健康であれば存在感皆無の酸素のように傍にあって普通という、当然の存在なんだろうが。
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