プリンセスのティアラ~プリンスの渇望~

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「おれが大人だったら。おれは、十三のときからずっとそう思ってきた」 「十三?」 「ああ」 紘斗はかすかに笑みを浮かべた。 大事にしている、とそんな気配が見えそうな静かな笑みだ。 姫良はじっと紘斗を見つめ、それから口を開いた。 「紘斗、わたし、猫を飼ってたって云ったよね。猫の名前、おばあちゃんとおじいちゃんがつけたんだと思ってたけど」 「なんだ」 「ヒロト、っていうの、猫の名前。わたしがつけてたみたい」 紘斗は目を見開いていく。 「紘斗、もうさみしくないよね?」
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