2:最強の従姉

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「何すんだよ!」 その手を振り払おうと振り返ると、今度はネクタイを掴まれ、グイッと、とも姉のほうに引き寄せられた。 「ふむ…」 とも姉は俺に顔を近づけて、じろじろと見てくる。 「…もしかして、これは…イケるかもしれないな…」 その目はまるで捕らぬ狸の皮算用でもしているようだった。 「…は?何が?」 「そういえば、あんたがまだチビガキだった頃、よく女の子の格好をさせて遊んでたよなぁ…。あんまりにも似合ってるから楽しくってさー」 「嫌な事を思い出させるなよ…」 俺は顔を顰めた。 小学校ぐらいの頃まで、俺はとも姉に逆らえないまま、無理やり女の格好をさせられては遊ばれていた。 「あんた、顔の造りは良いし、女装すればなかなかイイ線いくと思う。 というわけで、お前をここで雇ってやろう」 「……何が、というわけで、だ! てか、雇わなくていいから!」 冗談じゃない。 と言っても理屈が通じる相手ではないことは、昔からよくよく知っているので、そそくさと逃げようと… 「逃がさねーぞ」 とも姉は目にも止まらぬ速さで俺の頭を脇に抱え込んだ。
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