3:黒姫とティータイム

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「君が今日入ったばかりという新入りちゃん?」 「は…はい…」 いきなり若い男の客に声をかけられ、俺は慌てて高めの声で返事する。 「へぇ。 美人だし、スタイルいいし、もしかしてモデルとかやってるの?」 「いえ。何も…」 笑顔が強張る。 食器を下げて戻ってくると、とも姉に足を踏まれた。 「もっと普通に笑えよ」 「無茶言うな。男に美人とか言われても怖気しか走らんわ」 「あ、銀子ちゃん。 あなたに指名が入ったよ」 俺と同じくホールのアルバイトをしている女の子が声をかけてきた。 ちなみに俺の名前はここでは『銀子』ということになっている。 「指名?」 「そ。あの女の子が」 そう言って指差す先には、隅のテーブルでコーヒーをすする黒姫が居た。 「……え?」 …黒姫が…俺を…指名…? 「じゃあ、あとはよろしくね」 どういうことか問い返す間もなく、彼女は仕事に戻っていってしまった。
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