3:黒姫とティータイム

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* 「へぇ。銀子はカフェラテが好きなんだ」 「はい。 でも最近、コンビニのコーヒーをよく飲むようになって、ブラックコーヒーの良さも分かってきたかも」 黒姫の意外な内面を知ってしまったあの日から、もう数日が経っていた。 それでも俺はメイド喫茶のバイトを続けていた。 そして、黒姫は店に来るたびに俺を指名してきた。 「やっぱりコーヒーはブラックだろ」 「カフェラテも色んなフレーバーとかあったりして楽しいですよ。駅前のカフェのラテアートもすごい可愛いし。いずみも飲まず嫌いせずに一度は飲んでみたらどう?」 この格好で働き始めてまだ月日は浅いのに、違和感なく溶け込んでしまっている自分の順応性が怖い…。 一方、黒姫は女の姿の俺にかなり好意を寄せてくれているようで、俺達は日を追うごとにどんどん仲良くなっていった。 男の俺としてはいささか複雑な心境だけど、黒姫の心許せる相手になれているならそれも悪くないのかな、と安直に思っていた。
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