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それは、今までの俺の人生の中でおそらく最も衝撃的な出来事だった。
県内無敗の帝王と呼ばれていたこの俺が…タイマンで女子相手に敗北を喫した。
その相手の名は黒沢泉水(くろさわいずみ)。
県内東に位置する青龍学園のヤンキーどもの頂点に立つ女だ。
俺の名は白川銀二(しらかわぎんじ)。
県内北に位置する玄武高校の悪達のてっぺんを仕切っている。
先日、青龍学園と玄武高校の二年の輩同士が些細なことで諍いを起こし、その事態を収拾するべくそれぞれの学校のトップ同士がタイマンをはることになったのだ。
黒沢VS俺。
その決闘は青龍学園の傍を流れる川の河川敷で行われた。
正直、俺は相手が女だということで侮っていた。
ちょっとビビらせて、尻尾を巻かせりゃいい。
女相手に怪我をさせたとあれば、こちらの沽券にも関わりかねない。
しかし結果、その考えが甘かったと思い知らされた。
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