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一体どうするべきか。
一晩散々悩んだ挙句、俺は決めた。
そして翌朝、意を決して約束の場所へと赴いた。
その場所には約束の時間の五分前に着いたが、先に黒姫がそこに居た。
そして目の前に現れた俺を見るなり、思いっきり顔をしかめた。
「…てめぇが、なんでここにいる?」
黒姫は今にも殴り合いに突入せんばかりに身構え、低く唸るような声で問うてくる。
そう反応するのも当然だ。
なぜならメイド喫茶のバイトの銀子がここに来るはずが、なぜか先日タイマンで勝負したばかりの俺――白川銀二の姿がここにあるからだ。
「いや…。あのさ…その射殺さんばかりの殺気を収めて聞いて欲しいんだけど…」
予想通りの反応にやっぱりちょっとビビりながら、昨日貰ったばかりのチケットを掲げて見せる。
「…喫茶おかりなさいませの新人バイトの銀子ちゃんは実在しなくて…実は…あれ俺だったんだ」
「…は?」
打ち明けられた真実に、早速噛み付かんばかりに眉を顰める黒姫。
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