1:無敵の黒姫

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決闘が始まって数秒後、俺は黒沢にぶっ飛ばされ、地面に突っ伏していた。 口の中に広がる血の味…そして、 「なぁ、白川よぅ」 黒沢は倒れ伏す俺の肩の上に足を置き、容赦なくグリグリと踏みにじってくる。 「私はブラックコーヒーが大好きなんだ」 …知っている。 その漆黒の長い髪と瞳と相まって、彼女が通称『黒姫』と呼ばれている所以だ。 「だが甘いカフェオレは大嫌いだ」 そう言うと、傍にいた舎弟らしき野郎から受け取ったカフェオレの缶を開け、俺の顔の上にぶっかけてきた。 「貴様みたいな甘っちょろい考えの男も大嫌いだ。私が女だと思って油断したか?あん?」 「う…ぶぼ…」 カフェオレの海に溺れそうになる。 「…少しは期待していたのに。がっかりだ…」 そう言い捨て、空っぽになった缶を放り捨てる。 カンカンッと缶が地面を転がっていく音が耳に届いた。 カフェオレの味を舐めながら目だけを上向けると、黒沢と目が合った。 その漆黒の瞳はぞくりとするほど冷たく孤高でいて…寂しかった。 俺はその彼女の瞳から目を離すことができなかった。
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