NO.001

2/15
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「いかがですか。はじめましてエリカと申します」 目を開くと、ベットに寝かされて、横にはメイド服っぽいものを着た女性が立っていて、軽く頭を下げた。 エリカと名乗る彼女は営業スマイルとも言える笑みを浮かべ、ゆっくりと話し始める。 「本当は、はじめましてではないのですが、あなたの記憶からは、はじめましてになります。お手数ですが、また覚えなおしてくださいね」 エリカは世話係だといい。 何の世話係だかもわからないまま「お茶を入れてまいります」と本当にメイドみたいにぺこりと一礼すると、部屋を出て行った。 起き上がって床を見ると毛足の長いカーペットが敷いてあって、ベットルームの隣にはまた部屋があって、そこを見渡すと、ロッキングチェア、レプリカだろうが絵画やソフャー、机、書籍棚が見えた。 ここは外国か?日本だよな? ゆっくりと探るようにベッドから降りて、柔らかな絨毯に足をついた。 まるでどこぞのお屋敷の応接室のようだ。 そっとソファーをなでると高級そうな皮だった。 怯えながらもおずおずと座ってみた。 吸い込まれるような座り心地だ。 「お待たせしました」 エリカがお茶とお菓子を運んできたのだが、本当にお屋敷みたいにカラカラとワゴンを押して現れた。 「まずはお茶を召し上がって、後ほど社長が見えますので」 俺の前には、カラフルなスイーツが並べられ、紅茶のいい香りがする。 スンと匂いをかぐと、甘い香りと紅茶の香りで胃が動くのがわかった。 どうやら空腹らしい。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!