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俺が紅月の皇帝の生まれ変わりだとわかってから、周りの人の態度は180度変わった。
もちろん、良い方に。
街を歩けば声をかけられ、ちょっと市場を覗けば、お金を払わずとも品物が手に入った。
修行とは名ばかりのもので、苦行とは無縁だった。
友達も増えて、人並みに恋をして。まさに、順調だった。
俺は、将来を約束されていた。
けれども運命とは残酷なもので、どんなに幸福な人だとしても、どれだけ不幸な人だったとしても、死だけは平等にやって来る。
そう、俺はあの日、死に選ばれてしまったのだ。
その日は悔しくも、俺の…紅月の皇帝の誕生日だった。
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