坂本と海と

6/13
前へ
/33ページ
次へ
「それで?貴方は一体誰?ここは何処?」 丸まって大きな体を器用に小さくして震える男に、再度訊ねる。 すると男は、待ってましたとばかりに双眼を光らせて飛び付いた。 その姿はさながら、獲物を見つけた猫のように。 「よく聞いてくれたぁぁぁぁあああぁあ」 「煩い!」 「ふごっぉ!!!??」 あ、モロに入った……痛いよな、マジでこれだけはね。 どんなに鍛えたって、其処だけは如何しても鍛えられないもの。 同じブツを持つ男として、黙祷を捧げるよ…アーメン。 「……にしても、これじゃ埒があかないな」 見た限り、ここには俺と男の二人きりだし、他のどこにも人影はない。 場所としては……海、でいいんだろうか。 白い砂浜が広がっていて、さざ波の音も微かに聞こえる。 変だな……俺の住んでいた街に、海なんてないのに。 一体どこなんだろうか…ここは。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加