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「儂も最初、今のオマンと全く同じことを考えちょったきに」
「は?」
復活早いな。
「儂は確か…京の都でおったはずが、目が覚めてみたらこげな所に着いとったがや!海!!まっこと懐かしい景色じゃきぃ!!!」
男は両手を広げて、叫んだ。
170㎝以上はある男は、目の前に広がっているであろう海のように、底なしの大きさを持っていた。
全てを拒まず、何者であったっとしても、優しく、時に厳しく包み込んでくれる。
万物の母という異名は確かのようだった。
「なぁ、どう思うがや?此処は、何処やと思う?」
真っ直ぐと見られた。
曇りのない、澄んだ眼だった。
「……」
ここは何処か、考える。
海を見たのは、片手で数えられる程度のことで、記憶に新しいものはほとんどなかった。
けれども、初めて見た海の壮大さは、未だに覚えている。
願わくば、もう一度行きたかった。
生きている間に、もう一度だけ……
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