苦い香り

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「彩音。またウチに来たの?」  インターホンを鳴らすと、中から出て来たのは10歳年上の従兄弟の明宏兄さん。  優しい笑顔を私に向けて部屋の中へと招き入れてくれる。  少し、色素の薄い髪。  筋の通った高い鼻。  クッキリ二重の大きな目。  はっきり言って、イケメンだ。  部屋に入ると、苦みと深みが入り混じったような。  決して嫌な匂いではなく、この部屋独特の芳しい香りが立ち込めていた。 「さ、そこのソファに腰掛けて」 「はぁ~い」  リビングにあるソファに座るように促され、素直にそこに座る。
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