第1章

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言葉は呼吸と同じだ。 私の発する言葉と一緒に 白い息が、空を漂った。 コートから出して繋いだ手が、 暖まることなく冷えていって 髪をゆらす風が、強くないのに 耳を痛くする。 曇った空は、星なんか見えなくて 遠くを走る車がなくなると あまりにも静かで 少し怖くなった。 「別れよ」 自分の言った言葉が 目の前の空を曇らせ、消えていく。 あなたを選び、全てを手離すには 幼過ぎて 全てを手離す訳ではない、と知るには 幼過ぎて 何も考えずに、あなたを選ぶには 大人になり過ぎていて その中間の私には、別れしか選べなかった。 そして、あなたも それは同じだった。
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