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「輝明さん! プリクラ行きましょう!」
妙に張り切って俺の手を引く。
自分よりでかい手は指一本一本が細長く綺麗で、思わず握られた手を見つめてしまった。
柔らかい手は若さの象徴だろうか。
千晶の言っていたとおり、はたから見れば俺たちは兄弟に見えるのかもしれない。
弟に背を抜かされた兄はこんな気持ちなのか、なんて考えつつ瑞季の背中を追う。
勢いで手を引かれたまま自動ドアを開けると、ゲームセンター特有の騒音が耳を刺激する。
一般的なゲーム機が並んだ奥にあるプリクラコーナーに足を踏み入れるも、この一角は女の子ばかりで、なんだか気恥ずかしい。
「どの機種がいいんですかね~」
周囲がじろじろこちらを見てくる理由は、握られたままの手にあった。
恥ずかしさのあまりぱっと手を離すと、瑞季がそれに気づき俺の手を見る。
ようやく状況に気がついたのか、慌てて謝ってきた。
「俺夢中で……」
「いや、俺も悪い」
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