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  ギリギリのところでシャッター音が鳴り、本当に唇が触れることはなかった。 瑞季の顔が離れても呼吸を忘れるほど、俺は硬直していた。 心臓が早鐘のように強く打つ。 びっくりした?、なんて楽しそうに笑う瑞季に、苦笑いを返すことしかできなかった。 「もしかして本気でされると思いました?」 「……大人をからかうな」 シャッター音が微かに聞こえるだけで、何も集中できない。 カメラの前で自然な表情が作れているのかどうかすらもわからない。 瑞季に一手取られたような気分だった。 いつかの青かったころの気持ちに似ている。
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