第1章

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テレビに向かって先生と2人並んで机の前に座る。すぐ隣に先生がいてとても落ち着かない。 自分の緊張をほぐすために、質問をしてみる。 「先生は、いつも何してるんですか?」 「家にいる時は本読んでるかな。」 「あ、イメージ通り。先生、本読んでそうですよ。」 「そうかな? やっぱり大学生は本を読まないとね。」 そんな何気ない話をする。先生と2人で話しているのが何よりも幸せに感じる。 マグカップを持つ先生の右手がとても綺麗で見入ってしまう。 私が先生を見つめていると、先生と目が合う。そのまま見つめ合う。時が止まったように感じる。 私は先生の右肩に寄り添った。適度に厚みのある先生の肩は、すごく心地がいい。 顔を上げると先生が顔を近づけてきた。私は身動きせずに受け入れる。 唇から先生の体温が伝わってくる。 心が温かい気持ちでいっぱいになる。きっと好きな人とキスをしているから。 ーーキスってすごいな。 初めてのキスはコーヒーの味がした。ほんのりと甘い、大人な味だった。
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