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シラヌイ・ユーイは、東の塔を登る。
塔は、シンプルな螺旋階段になっていた。
登りきると、
そこには、牢獄が1室だけある、鉄格子がされ窓はない。
酷くカビ臭い。
いつの時代か?腐敗した髑髏(しゃれこうべ)が、
鉄の鎖に、繋がれたまま、放置されている。
『 うげぇ……酷い……臭い……吐きそ……ここではなさそうね……』
鼻を摘み、螺旋階段を引返した。
『 次は南ね!』
シラヌイ・ユーイは、再び中腰で闇夜を走る。
しかし、
その姿を睨む者の姿があった。
4階のガラス張りの1室、
葉巻を咥え、1人ワインを飲みながら、
バズーカ砲を、手入れしていた看守長アギレラ。
多額の費用で手にした、未使用のバズーカ砲である。
眺めながら、酒を愉しむのが、彼の日課だった。
そこへ、闇夜を走る鼠(ねずみ:侵入者)を発見し、
狂気に満ちた、不敵な笑みを浮かべた。
『 フン……ネズミめ……デストロの仲間か?それともあの侍の?……どちらにせよ面白い!このアギレラ様に喧嘩を売るとは上等じゃねぇか!』
図太いドスの効いた、低い声で叫ぶアギレラ!
警報器を鳴らした!
ウーーーー!
ウーーーー!
ウーーーー!
その音は、屋上のユーイは、勿論の事、
潜入して、
中庭に身を潜めるヨシュアと、リオの耳にも聴こえた!
『 え!見つかちゃった?……私かな?』
『 そんなはずはない!ユーイの奴しくったな……あれ程遠回りしても屋上の外側を走れと言い聞かせたのに……』
『 あちゃー……姉御(あねご:ユーイの事)ってば猪突猛進だから……』
『ああ 全くだ……ヤレヤレ……ん? あの牛舎……中には何も居ないようだな……一先ずアソコに隠れて様子を見よう!』
『イェっさー 』
2人は牛舎に潜んだ。
すると、
アギレラは、それをも、見逃さなかった。
最恐看守長アギレラ。
鋭い嗅覚で裏切り者を、見破り、
その視線は、いかなる塵も見逃さない。
デリンジャー将軍が、絶対的に信頼を置いている。
『 む!?またいた!全部でねずみが!3匹ィィ!!このアギレラ様が駆除してくれよう!』
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