食わず嫌い

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一浪して入った大学に通い始めた頃、 JRからバイト先のおでん料理店へ行く途中、 地下一階の通路から何気に覗いた百貨店の洋菓子売り場。 そこで接客する綺麗なお姉さんを見つけた。 艶やかな髪に透き通るような肌。 どうしても気になって、 通るたびに横目で探した。 今日も、いつも通り、バイト先に向かう地下通路から、お姉さんを横目で探した。 『いた、いたっ!』 気が付けば、お姉さんの店へ行きケーキを買っていた。 1つだけ買うのって、なんだか恥ずいから、 「これとそれをください」 「こちらでよろしかったですか?」 小箱に入った2個のケーキを確認する時に、ちらりと名札を見た。 『ふーん、椎名っていうんだ』 さっきまで僕の目の前でお酒を飲んでいた女の人が、その椎名さん。
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