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嫌な名前を聴いてしまった。
私と彼が初めて出会った街。
あれは三年前の事。
当時、駅前の海軍カレーのお店でバイトしていた私は、とりあえずは英語が話せたこともあって、けっこう重宝がられていた。
しかし、それが仇になった。
他のコが、外国人のお客様にカレーを提供していたのだけれど、何か失礼があったのか、とても怒られていた。
間に入って一緒に謝ったのだけれど、お客様の怒りは鎮まらなくて。
そんな時に現れたのが彼だった。
今にも殴りかからんとする外国人の前に立ち、一言二言、冷静に告げた。
すると、真っ赤な顔をした外国人が、少しずつ冷静になって、自分達の非を認めて、そのまま大人しく食事をしてくれた。
その時はそれだけだったけど、後日、同じ大学のキャンパスで出会った時には、お互いに驚いた。
学部が違うから全然気付かなかったけど、私と彼は同じ大学の四年生と一年生だった。
それから、一気に親しくなった私たちは、よく、二人が出会った街である横須賀を訪れた。
「ちょっと、日本じゃない感じがいいんだよね」
私にはよく分からなかったけれど、下町育ちの彼には、『外国』というのは憧れそのものだったのかも。
あぁ~もう!
せっかく彼から離れていたのに、なんかまた思い出したし!
やっぱり、乗り換えなしでお互いに行き来出来たから、この路線の近くに住む限り彼からは逃れられない。
『長らくのご乗車ありがとうございました。
まもなく、電車は終点の三崎口に到着します。
どなた様も、お忘れものなさいませんよう、ご支度ください』
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