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1人の男性が、極悪警察署に落とし物が届けられてないか、相談に来た。
肌は色白で無精髭を生やしていて、細身で長身の男だ。オドオドしながら受付までトボトボと歩いていった。
「あ、あのぉ、こちらに黒色の財布が届けられてませんか?昨日落としてしまって・・・・・・」
すると、受付のカウンターに座っていた警察官のマサは、男の姿に気付いているにもかかわらず、ノートパソコンの画面を凝視したままである。
「あのぉ・・・・・・聞こえてますでしょうか?落とし物についてお尋ねしたいのですが・・・・・・」
男は頭をポリポリと掻いた。
するとマサは、チッ!っと舌打ちをして視線を男に移して睨みつけ、
「うるさいねん、今ええトコやねんで?
もうちょっとでイク場面やっちゅうのに、エラいバッドタイミングで来るなやホンマ」
と悪態をついた。
「え、あ、す、すいません・・・・・・」
男は警官の横柄な態度にキョドりながらも、勇気を出してもう一度訊いた。
「財布のなんですけど、落とし物で届けられたり・・・・・・な、ないですよね?」
マサは片方の唇の広角だけを嫌みたらしく上げた嘲笑の顔をしながら、
「アンタなぁ、財布にナンボの金入っとったんや?」
「え、確か4万円ほどは入ってたと思います」男は困惑の顔を浮かべた。
それを聞いたマサは、両手を後頭部で組んで椅子の背もたれに、これでもかと言わんばかりにふんぞり返りながら、またニヤリと笑みを浮かべて言う。
「おい、冷静に考えてみ?4万もゼニが入っとる財布を誰かが素直に警察に届けに来ると思うか?」
右手を空中に上げて左右に否定の動作をさせながら、
「あらへんあらへん!そんなエエ奴ヮこの世の中に滅多におらんがな。
きっと拾われてても、中身だけ抜き取られて、どっかのゴミ箱にポイって捨てられとんのがオチや、な?」
「そ、そんなぁ・・・・・・酷いじゃないですか!何もそんな言い方しなくても」
男は泣きそうな顔をしながら、両手でカウンターをバンっと叩いてマサに前のめりなって訴えた。
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