喫茶 玉

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商店街の一角にある古民家を思わせる外観の店舗。 『喫茶 玉(ぎょく)』 ここが私、宇治川 梅雨(うじがわ つゆ)の憩いの場。 「いらっ…なんだ、お前か」 引戸をカラカラと開ければ、カウンターから煙草をくわえた着流し姿の青年が不機嫌そうに声をかけてくる。 「お客様にむかって失礼だって、珠利(じゅり)さん」 ぷぅっと頬を膨らませて抗議すると、彼は吸いかけの煙草を灰皿に押しつけた。 「で、オキャクサマはそんなとこ突っ立ってるのか?」 まだ入口に立っていたことを思いだし、慌ててカウンター席に座る。 彼、茶山(さやま) 珠利は、この『喫茶 玉』の店主である。 「ホラよ」 さっと出されたのは、湯気のたつ煎茶碗。中には緑色のお茶に浮かぶピンクの花が見えた。
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