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「お前は本当に顔に出るな」
すっと換気扇の下へと移動して煙草をふかす。
不機嫌そうな表情は標準装備だが、それに慣れてくると隠れた変化が読みとれるようになる。
今のは呆れたような笑だ。
「素直で可愛いのはここだけだよ」
真っ直ぐ見つめて言えば、しかめっ面が返される。
「…っ」
珠利が何かを言おうとして口を開けかけたのと同時に、カラカラと引戸が鳴った。
「いらっしゃいませ」
全然いらっしゃいませな感じじゃない声につい、顔が引きつってしまう。
「愛想無さすぎだよ」
ボソッと呟いた言葉に、無言で睨まれる。
開かれた扉からは、世話好きそうなおばちゃんが入ってきた。
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