20人が本棚に入れています
本棚に追加
/1056ページ
「あの、アシュヴィン双神……?」
見分けのつかないシルビアが、差し障りのない呼び方で声をかける。
「シャスタさん、見分けがつきますか?」
「え?ええ。こちらがダスラさんで、こちらがナーサティヤさんですよね?」
何の迷いもなく答えたシャスタ。
双神が笑顔になる。
「シャスタさん!仲良くしましょうね!」
「何かあれば遠慮なく言って下さいね!」
ダスラとナーサティヤに手を取られ、ぶんぶん振られる。
個人を認識された事がよほど嬉しかったのだろう。
「え、あの、何で……?」
横で見ていたシルビアが唖然とする。
「私達を見分けられたのはシャスタさんが初めてなんですよ。こんなに嬉しいなんて思いもしませんでした。」
「そ、そうなんだ、」
その喜び方に少し引いた。
だが、なぜシャスタは見分ける事ができるのだろう。
顔認証システムを搭載したコンピュータならまだしも、シャスタは生身の━━
「もしかして名残……?」
「え、名残って?」
手を握られたままのシャスタが、苦笑しながら聞き返した。
.
最初のコメントを投稿しよう!