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「あれ?先に公園?」
「はい。まだ陽は高いですからね。夕暮れ時になったら海岸に行きましょう。」
それもそうかと、納得して国立公園を歩く。
「あ、カンガルーだ。ふふ、可愛い。」
母親の袋から顔を出す子供。
あの時はその様子を見て悲しくなった。
「ね、早く作ろ?シャスタ似の可愛い息子。」
「はは、そうですね。昔と違って月一じゃありませんから、すぐできると思いますよ。」
「うん。あ、でも……」
「何か心配事でも?」
頷き、下腹部に手を置く。
「女神の妊娠って人間と違うわよね?普通にしてて妊娠するの?」
「あ、そうですね。少し調べてみます。」
知識の神が目を閉じ脳内を検索する。
授けられた神の力は、あらゆる情報を保有するその頭脳だ。
コンピュータ時代と変わらぬ検索方法で、膨大な知識の中から目的の物を探し出す。
「これは少し厄介ですね……。」
「え、何?妊娠が難しいって事?」
「はい。女神の排卵は数十年に一度のようです。しかも受精可能期間は僅かしか……」
「嘘!じゃあ息子は!?いつ授かるの!?」
泣きそうなシルビアを宥めながら、新たな情報を探す。
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