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(モニターB)
〈白基調、七~八畳の部屋。カメラは上方から斜め下に向けられており、天井は映らない。左右の壁に向かって椅子が二脚ずつ固定されている。左手の壁は一面に小さな機器が備え付けられており、椅子の前に精密な操作盤がある。右手の操作盤は簡易的で、壁の中央に五十インチほどのディスプレイが埋め込まれている。操作盤の下には横長の冷蔵庫が設置されている。カメラ下部手前にドアノブが映りこんでいる。カメラの向かいにもドアがあり、そこからミユキ、ヤノ、ジャクソンが入ってくる〉
〈ミユキが部屋を見回す〉
『うわぁぁ……!』
〈ヤノがミユキの後ろ姿を笑顔で眺める〉
『すごいねえ。本物だよ』
〈ジャクソンがドアを閉めて話す〉
『ここは作業室で、こっちの部分は』
〈左側の壁を指す〉
『スペースシャトルの外側のことを、いろいろ操作して管理します。そして、こっちが──』
〈ミユキが咳き込む〉
〈ジャクソンがミユキを振り返る〉
『おう、大丈夫かい』
〈ミユキが激しく咳き込む〉
〈ヤノが言う〉
『ミユキ』
〈ミユキの正面に周り、座らせ、背中をさする〉
〈ミユキが激しく咳き込む〉
〈ヤノがミユキの背中をさする〉
『大丈夫。大丈夫だから』
〈ミユキが咳き込み、ヤノに抱きついて、胸に顔をうずめる〉
〈ヤノが顔を強ばらせ、ミユキの背中をさする〉
『お母さんついてるから』
〈ミユキの咳が少しずつ弱まり、治まる。ヤノは表情から緊張が解け、目をつぶる。ミユキの背中はさすり続けている〉
〈ジャクソンが直立状態で言う〉
『……大丈夫ですか』
〈ヤノが軽く二度頷く〉
〈ミユキがヤノから離れ、立ち上がる〉
『ごめんね。ありがとね、お母さん』
〈ジャクソンが冷蔵庫を開け、水色のボトルを一本取り出し、二人に差し出す〉
『ただのジュースですが、よければ』
〈ヤノが言う〉
『せっかくですが……』
〈胸ポケットから小瓶を取り出し、ミユキに渡す〉
『すいません』
〈ジャクソンが頷き、ボトルを冷蔵庫に戻す〉
〈ミユキが小瓶から一口飲む。飲み終えると、ジャクソンに向かって言う〉
『失礼しました』
〈ジャクソンが笑顔になる〉
『いいんだよ。ミユキちゃんも、無理──』
〈カメラの向かいのドアが開く〉
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