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〈開いた入口から、女が一人、勢いよく入ってくる。ヤノと同じ橙色の服を着ている。二十代後半。荒れ気味の肌に厚化粧、中肉中背、腰まで届く濃い金髪〉
〈ジャクソンが女の方を向く〉
『お客さん──』
〈女が部屋を見回し、甲高い声を上げる〉
『わぁー! すごいすごい! これ本物? うわ……』
〈冷蔵庫を開け、ボトルを取り出す〉
〈ジャクソンが女の肩に手を置く〉
『お客さん、見学は順番を守ってもらわないと』
〈女がボトルからラッパ飲みしながらジャクソンを一瞥する〉
〈開きっ放しの入口から男が入ってくる。女に向かって、微かにしゃがれた声で言う〉
『馬鹿野郎』
〈二十代後半。パーマの黒髪で、色素の少ない薄い顔をしている。橙色の服。華奢で背が高い〉
『ちょっと待てって……』
〈女が男に向けてボトルを放り投げる〉
『ねぇ、美味しいよこれ』
〈男が顔をしかめてボトルをキャッチし、ジャクソンの方を向く〉
『すいません、次の番のシオミです。彼女が勝手に入ってしまって』
〈ジャクソンが軽い溜め息をつく。続いてミユキに近付き、かがんで話す〉
『ミユキちゃん、この人達と一緒でいいかな……』
〈ミユキが言う〉
『ええと──あっ』
〈女がジャクソンの後ろを通り、カメラ下部手前のドアノブに手を伸ばす〉
〈ジャクソンが振り返り、立ち上がって声を上げる〉
『立ち入り禁止です!』
〈女がドアを開ける〉
『ぁぁああ……! すごい綺麗。別にいいじゃない……』
〈画面下部手前に消えていく〉
〈男(以下、シオミ)が女を追う〉
『カンバラ、おい──』
〈舌打ちする〉
『いい加減にしろって……』
〈ボトルを冷蔵庫に戻し、画面下部手前に消える〉
〈ジャクソンがミユキに向き直る〉
『あぁ……すまないねホントに』
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