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いや、そういうことは、今はいい。
いや、良くはないけれど、とりあえず脇にどけておいて。
白夜城の主・ユウに罠を張られて待ち構えられるよりも前に、依代へのお返しはもちろんしようと考えていた。
あれこれ悩んで、品物も見つけてある。
あるの、だが……
「蓮花が来てくれるのは嬉しいけれど、予告もなくいきなり現れるのは珍しいわ。
今昔森で、何かあったの?」
幾重にも絹を重ねた上に羽織った、見事な藤模様の打掛。
部分的に摘んで結った髪に、いつもの花かんざし。
長く裾を引く雅やかな衣装の上を、流し髪にしたサラサラの黒髪が流れていく。
予告もなく突然訪ねたせいか、依代は俺の見慣れない姫装束に身を包んでいた。
その格好が見慣れなくて、でもとても綺麗で、妙に胸が騒いで落ち着かない。
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