華に春花を加えて

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「蓮花! 取って!!」  じれた依代は俺の方に身を乗り出してきた。  それをさりげなくよけながら俺は眉間にしわを寄せる。 「気に入らなかったのか?」 「違うの! きちんと目で見て確かめたいのっ!!」  勝手に差しておいて勝手に不機嫌になる俺の前で依代がガバッと俺の顔を覗き込んでくる。  キラキラとした瞳は、俺の想像以上に期待に満ちていた。 「あ……その…そんなに、高価な物じゃないぞ?  高い物には、手が出なかったから……」 「そんなの関係ない!  蓮花がくれったてことに意味があるのっ!!」  早く早く、とせかす依代の言葉に、これ以上上がらないと思っていた体温がカッカカッカと上がっていく。
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