かの子 23

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ここに、金が全て集まっているんだ……。 改めて考えると、何て無防備。考えなしなのか。 あいつらにとって、ゲームがメインで、金は二の次なのか。 「かっ……かの子ちゃん!大丈夫なの!?」 部屋に長谷倉が慌てて入って来る。 「――……ごめんなさい。……あたし「良かったあぁー!!!」 かの子が形だけでも謝罪しようとすると、食い気味に長谷倉が叫んだ。 そして、スマホを持ったまま、しゃがみ込む。 「あ……あの……」 「良かった。ショックで何か病気にでもなったのかと思って、今、西田呼ぼうとしてたんだ」 「す、すみません……」 「良いよ、平気になったなら」 そう言って長谷倉は、そのままスマホを持ち直す。 「あ、西田!かの子ちゃん、平気みたい。悪かったな、突然」 通話中だったらしく、そのまま電話を終えた長谷倉は、ベッドのかの子を見上げた。 「――……ごめん。……そんなに嫌だった……?」 「あの……あたし……」 ダメだ。ここで素直にうなづいたりしたら。 我慢しなきゃ、情報源がなくなっちゃうかもしれない。 「こっ……心の準備ができてなくてっ……!……ごめんなさい……」 満足のいく返事になったのか、長谷倉は立ち上がると、かの子のそばに座り、その腕を取った。 反射でビクリとすると、悲しそうに長谷倉は笑う。 「ごめん、はオレの方。……辛い事があったんだよね……これ」 かの子は一瞬迷ったが、うなづく。 なるべく視線を合わせたくなくて、うつむいた。 「……その……もしかして、以前、誰かに無理矢理されたの?」 「え?」 長谷倉が気まずそうに言うが、内容が理解できず、かの子は聞き返す。 「……えっと……だから、無理矢理されたって言うか……。それで、今もあんな風に……」 「ちっ……!!ちがっ……!!!」 かの子は慌てて首を横に振った。 とんでもない事を言い出すんじゃない!このバカ男!! 声に出しそうになるのを何とか耐えて、かの子は更に首を振った。 「違います!……これは……ちょっと……病気みたいなもので……」 「あ、そ、そう。ごめんね、変なコト言って!」 深刻な話に慣れていないのだろう、長谷倉はすぐに話題を畳んだ。 「とにかく、服着て良いから。……オレ、そっちにいるからさ」 長谷倉はそう言って部屋を出る。
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