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「……かのちゃん」
「……うん?」
「――……ありがと……。俺の事、好きって言ってくれて……。受け入れてくれて……」
かの子は塩原を見上げて、恥ずかしそうに微笑んだ。
素直に、その言葉は嬉しかった。
だが、それ以上は触れる事なく、塩原はかの子を離す。
それが、かの子を大切にしてくれているのだと気づいた。
立ち上がった塩原の背を見ながら、かの子は思う。
いつか……この、持て余してしまった南條への気持ちも、上書きされるんだろう。
でも、もう、それで……良いんだ。
それで――……。
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