かの子 23

12/12

193人が本棚に入れています
本棚に追加
/737ページ
「……かのちゃん」 「……うん?」 「――……ありがと……。俺の事、好きって言ってくれて……。受け入れてくれて……」 かの子は塩原を見上げて、恥ずかしそうに微笑んだ。 素直に、その言葉は嬉しかった。 だが、それ以上は触れる事なく、塩原はかの子を離す。 それが、かの子を大切にしてくれているのだと気づいた。 立ち上がった塩原の背を見ながら、かの子は思う。 いつか……この、持て余してしまった南條への気持ちも、上書きされるんだろう。 でも、もう、それで……良いんだ。 それで――……。
/737ページ

最初のコメントを投稿しよう!

193人が本棚に入れています
本棚に追加