きっと彼は夢を見るだろう

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「ちょっと待ってくれ」 俺の声に反応して、彼女はぴたりと静止する。 「明らかに怪しいじゃないか」 「でも、記憶が戻れば……きっとなんでこの部屋に閉じ込められてるのかがわかるじゃないですか」 彼女の言う事にも一理ある。タイマーがゼロになった時、俺達に何が起こってしまうのかなんて想像したくない。 若干の間悩んだ俺は、結局彼女の提案に乗る。 何もしないよりも、何かして後悔したかった。   「スイッチを押してもいい」 「ホントですか?」 「ああ。だけど、俺が押す」 彼女からスイッチを貰うと、俺はしげしげとスイッチを観察する。 スイッチの裏側に、『マモル』はスイッチを押すと、正常に機能を回復されますと記載されている。 俺は『マモル』なのか? 彼女は生唾を飲み込み、こちらの様子をじっと伺っている。 覚悟を決めた俺はスイッチを押す。 そして、今回の出来事はすべて事故であった事がわかった。 俺がなんであるかを。 「記憶戻りましたか?」 梓の声に、俺は答える。 「ああ、戻ったよ梓。昨日俺の好物食ったんだってな。春菊なしのすき焼き」 「えっ、春菊入ってない事あなたに話してないのに。梓って私の名前なの?」 きょとんとした、慣れない化粧の梓を見た俺はある一つの決断をし、その通りにプランを組み行動を開始する。 「そうだよ。僕らは恋人だったんだ」 「だった?」 「俺は死んでしまったんだ」
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