俺は探偵だ

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5万8000円のマイ・オフィスから徒歩三分、すぐ近くに行きつけのコーヒー屋がある。半径500m以内から出たくない俺にとってはそこそこ良い立地だ。 洋風飾りのガラス戸を開けると、心地いいベルの音がした。音に気付いた店主がこちらを振り向いた。 「あっ迷探偵さん」 名探偵の俺はさっそく店主の話を聞こうと、話しやすいカウンター席の一番奥に座った。 「いらっしゃい、今日は珍しくここにコーヒーを飲みに来てくれたんですか?まさか昨日渡したコーヒーを飲みきっちゃったわけではないですよね?」 店主は俺に手拭きを渡しながら話してきた。 俺は気付いた。店主の声がいつもより少しダミ声なことに。 (もしかして、店主はタバコを始めたのではないか、そしてタバコを咥えながら豆の管理をしていたため、煙を吸った豆が少し苦くなり、そのせいで俺のブレンドが苦くなったのではないか!?) 俺の推理に疑いはなかった。
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