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将来役に立つのか分からない授業を受けているとあっという間に放課後は訪れた。
「じゃ、ごめんね芽衣!またね!」
「うん、頑張って」
芽衣じゃあね、芽衣ばいばい、と友だちに次々言われ手を振りながらうんじゃあね、そういう感じだ。
別に嫌いとか、仲良くないわけじゃない。
ただ少しだけわたしの中の何かが欠けているんだと思う。
イヤホンを耳にし、スマフォから音楽を再生する。軽快な音が流れ、世界から一人抜け出すような感覚を覚える。
彼女の夢まで見て、僕はおかしいんだ、彼女はもういない、いなくなってしまった。
そんな歌詞を耳にしながら思うのは。やはりわたしには分からない。そういうことだった。
そりゃ人並みに憧れるし、キス以上のこと、そう例えばセックスとか気になるし好きになるってどういうことだろうって考える。でも考えれば考える分だけ分からないから疲れてしまう。
ふいに帰り道手を繋いで帰るカップルを見ると、羨ましいと思う気持ちと恥ずかしくないのかなと思ってみてしまう。
~♪
流していた曲が止まり、着信のメロディがイヤホンから流れた。
「もしもし」
「あ、もしもし芽衣ちゃんさ、申し訳ないんだけど今日空いてたりしないかな?」
「あーー、はい分かりましたいいですよ」
「ありがとう! 助かるよ!」
バイト先からである。
わたしは恋とか考えている暇よりバイトしている時間の方が有意義だと思っている
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