*:。 日和 ・゚:*:・'°☆

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『そうだな もう春だな』 普段は無愛想なおじいさんの 思わぬ返事に驚く おばあさんを気にすることなく おじいさんはお茶を飲む 『おい……  今年も 氏神さまの桜を見たいか?』 おばあさんを見ないまま おじいさんはそのまま続ける 『あそこの桜は   今年も見事でしょうね』 そう言いながら おばあさんは もう長くは歩けない かたくなった自分の足を見る 『行きたくないなら  無理にいいぞ』 連れ添って何十年になるんだろうか けれど 毎年春になるたび訪れ見惚れた 氏神さまの桜…… 『おまえの一人や二人くらい  まだまだ儂は連れて行ってやれるわい』 『でも……』 おばあさんは 嬉しそうではあるが 悲しそうに足をさする
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