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2度目の携帯のアラームが鳴る。
身体が不快な音に反応し、目を覚ます。
一晩かけて作った心地よい空間は
いつだって離れがたい。
テレビでは、桜前線がしきりに流れて
春だ、春だと浮かれている。
奈緒の住む長野は、春は少し遅くやってくる。
朝は、まだ肌寒く
隣で寝ている悠介は、頭までしっかり布団を被り
小さな寝息が聞こえてくる。
3度目のアラームが鳴ると同時に
素早く止めて、布団から出る。
悠介にも、テレビと同じように春が来ている。
無造作に置かれた悠介の携帯には
恋い焦がれる文と、可愛いハートの絵文字が
悠介と同じように気持ちよさそうに眠っている。
「原田さん、また、デートしてくださいね。
大好きです。しっかり仕事して、いっぱい褒めてもらお」
幼さを残し、真っ直ぐな文を
私は、もう悠介に送るとこはないなぁと思う。
二人分のお弁当箱を机に置き
卵を2つ、ウィンナーを4本、冷蔵庫から取り出す。
電気ケトルに水を入れて
フライパンに油をひいて
2年間の習慣で、何も考えずとも
身体が動き出す。
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