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生まれてきたときから幸福など無かったに等しい。
身分のせいで幸せな生活など遅れなかった。
まぁ、それでも良かったんだ。
家族がいてくれて、皆が笑ってくれてて………少ない飯もどれだけ腹が減っていようが分け合うことができていた。
ただ、それだけが頼りだったんだ。
唯一、俺が持っていられたもの。
唯一、俺を必要としてくれるもの。
唯一、俺が好きだったもの。
雨の止まないこの町でも………温まることのないこの体温のなかでもこんなことってあるのだと形のある幸せを俺は持っていたんだ。
なのに。
あの日………全てを失って本当の日陰者になってしまった俺は
一体、何をしたというのだろう。
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