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どうしようか悩んでも当然答えなんてでるわけもなく。
私は増田先輩に相談することにした。
「そうだな……。私としては仕事を考えれば風間くんが妥当だとは思うけど」
「そうですよね……」
「でも、風間くんの元カノ疑惑が浮上しているのに会わせるのは危険なような気もするんだよね。まあ、お互いプロなんだし、仕事を疎かにするとは思えないんだけど」
増田先輩は悩みぬいた結果、大きなため息をついた。
「仕方ない。風間くんに相談してみよう」
そう言って私達はビジネススタイル部に向かった。
江藤先輩と藍くんを呼び出して詳細を伝えると藍くんは困ったような顔をした。
そんな顔をさせた自分が情けなくて、申し訳なさでいっぱいになった。
「風間だけで行かせるのが不安なら、俺も一緒に行くよ。増田も松森さんと一緒に関わってるわけだし、『大きな仕事だから失敗を防ぐために』とか、それっぽい事言えばいいでしょ」
「助かる、ありがとう」
「俺らの部署もウエディング部と一緒で年中忙しいってわけじゃないし、協力できることはするから」
江藤先輩の申し出に増田先輩はホッとした。
詳しい内容を二人で話し合っている間、私は何も言えずにただ俯いて立っている事しか出来なかった。
昼休み。
加代ちゃんは私の前にある食事を見て固まった。
「何?ダイエットでもしてる?」
私の前にはわかめスープだけ。
私は困ったように笑った。
「違うよ。ただ、ちょっと最近食欲がなくて」
夜や朝は藍くんと一緒に食べるため、無理やりご飯を詰め込んでいる。
それで毎日気分が悪くなっているんだけど……。
食べたくないのに食べないと心配させてしまう。
……前はご飯を食べるのが楽しみだったのに。
「そんなんじゃ倒れるよ?どっか悪いの?」
「悪くないよ。本当に食欲無いの。好きな唐揚げ見ても吐きそうになるし、何を見ても美味しそうに思えなくて」
「それ、病院行った方が良くない?」
「大丈夫だよ。仕事で心配なことが多いだけだから、今持ってる仕事が片付けば食べられるようになるから」
スープを一口口に含む。
……どうしてこんなにも美味しくないんだろう。
「ごめんね、加代ちゃん。仕事に戻る」
「え?全然食べてないじゃん」
「うん……。でも、やらなきゃいけない事が多いから」
私はスープを残して仕事へ戻る事にした。
目がチカチカするのを気のせいにして。
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そして私達は河井さんに会うためにフィーユへとやって来た。
ずっと無言の藍くんをチラッと見て、私も俯く。
絶対に嫌だっただろうな。
それなのに私が巻き込んだ。
罪悪感で胃がきりきりしている。
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