338人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日。
熱を測ると昨日よりも熱が下がっていた。
平熱より少し高いけど、今日一日休めば治りそうだ。
「とりあえず今日も仕事休むって連絡したから」
「ありがとう」
「ううん。あ、それより俺 白雪に謝らないといけない事あるんだよね」
「え?」
藍くんが私に謝罪?
それは何?
河井さんとか楠さんとか関係あったり……?
嫌な予感がして変な汗が出る。
藍くんは申し訳なさそうに眉を下げた。
「俺が白雪と付き合って同棲してること、江藤先輩と増田先輩にバレた」
「え……?」
「何なら井原も知ってる」
「え!?」
驚いて固まってしまう。
どうしてバレたの!?
「ほら、白雪が倒れたの二回目じゃん。それで俺が白雪連れて会社出たでしょ?しかも仕事場戻らないって……バレない方がおかしいっていうか」
それもそうだ……っ!!
衝撃を受けていると藍くんが笑った。
「江藤先輩と増田先輩が適当な理由つけてくれてるから、まだ他の人にはバレてないと思うけど、俺って白雪の事になると周り見えてないなって実感した」
「ぅ……っ」
そんな可愛い顔で笑うのは反則だと思う……!!
そもそも隠して欲しいとお願いしたのは私で、藍くんはバレてもいい派の人だ。
社内恋愛は別に禁止じゃないし、私がいつまでも過去を引きずってるから悪いわけで……。
これは、いい機会なのかもしれない。
過去のトラウマを払しょくする。
「あの……藍くん」
「何?」
「まだ、自信は無いけど……もうちょっと、待って」
「え?」
「自分から、藍くんと付き合ってますって宣言出来るまで……」
そう言うと藍くんは優しく微笑んだ。
「律儀だよね、白雪は」
「……っ」
「焦らせないから。大丈夫」
安心させるように抱きしめてくれる藍くん。
その腕に甘えるように私は藍くんの服を軽く掴んだ。
すると藍くんのスマホにメッセージの通知のお知らせ音。
藍くんは片手で私を抱き締めたままスマホを手にした。
それから固まった。
「藍くん……?」
声をかけると藍くんがため息をついた。
「あのさ、白雪。この間、理沙と会った時に言ってたじゃん。『ちゃんと話し合え』って」
「あ、うん……」
「理沙が、今度の土曜日に会えないかって。もちろん白雪も一緒にって」
明らかに乗り気じゃない藍くん。
でも、このままモヤモヤしたままでいいはずがない。
私は頷いた。
「ちゃんと話そう。辛いかも知れないけど……藍くんだって気になってるでしょ?河井さんがどうして藍くんを裏切ってしまったのか……」
「そんなの、俺よりアイツの方が好きになっただけ……」
「違うかもしれないよ?」
そう言うと藍くんは辛そうに目を伏せた。
・
最初のコメントを投稿しよう!