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白雪が出て行ったあと、藍と理沙は残されて呆然としていた。
それから藍はハッとして白雪を追いかけようとする。
すると理沙が口を開いた。
「藍って、松森さんと付き合ってるの?」
「え……」
一瞬何と答えようか迷う藍。
理沙は同じ会社の人間ではないし、簡単に周りに言いふらすようなタイプではない。
悩んでいると理沙はクスクス笑った。
「その反応、YESって言ってるようなものだよ」
「あ……」
「そっか、松森さんか。可愛いし、いい子だもんね。勝ち目ない」
理沙はコーヒーに口を付けると息をついた。
「初めて松森さんに会った時、『わあ、凄い可愛い子』って思ったんだ。名前も白雪って可愛いし、白雪姫だーって。……でも、言えなかった」
「なんで?」
「だって、なんだか松森さん 自分の容姿を言われるの嫌いそうだなって思って」
その言葉に目を見開く。
その通りだと思ったからだ。
いつも白雪は自分の容姿を言われると嫌そうにする。
『自分は可愛くない』と言い張る。
藍もずっと気になっていた。
あれだけ可愛いのに認めない。
いや、認められてもそれはそれで複雑なのだが。
「私と藍が付き合ってたの、知ってるんだよね?」
「うん」
「それなのに、私達残して出て行った。絶対に嫌だと思うのに、絶対に苦しいと思うのに……本当にいい子だね。松森さんが居なかったら、私達は永遠に和解出来てなかった。感謝してるのに、松森さんに届いてなかった。…辛いな」
理沙が苦しそうにそう言ってため息をついた。
「藍。松森さんの事、守ってあげてね。多分……いや、絶対に誤解してる。私達がまた付き合うって思ってると思う」
「なんで……」
「松森さんがいい子だから」
「!!」
「藍、松森さんの事めちゃくちゃ好きでしょ。そうじゃなきゃこの場に一緒に連れてこないよね。今までの藍だったら面倒ごとになりたくないから絶対に連れてこなかったはずだもん。誤解されたくないからここへ連れて来たんだよね」
「それは……まぁ……」
「だったら早く帰った方がいいよ。今頃泣いてるかも」
理沙にそう言われて藍が立ち上がる。
それから理沙に頭を下げた。
「ありがとう」
「ううん。松森さんによろしくね」
理沙は藍に手を振る。
1人になった理沙は窓の外を見て小さく微笑んだ。
急いで帰った藍はマンションに入って驚いた。
散乱しているのは白雪の荷物とカバン。
「白雪……?」
声をかけても返事が無い。
嫌な音を立てる心臓。
ゆっくり中に入って行くと、キッチンで倒れている白雪を発見した。
側に落ちている包丁、床に流れる血。
目の前が真っ白になりながらも、藍は白雪に駆け寄った。
「白雪!!」
それから白雪を抱きかかえたのだった。
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